10月末ですね。スーパーやデパートに栗が並ぶことは少なくなってきました。
果物と言えば、現代では、和栗以外にも色々な美味しい果物が世界中で発掘されて、流通するようになっています。
まさに美味しい果物が手軽に味わえるすばらしい時代になっています。例えば、リンゴや梨、ミカンの品種、そして食味の改良には目を見張るものがありますし、少し前まではアボガドなんて食べたこともなかったわけですが、アボガドなんかも今やサラダやお寿司など料理の幅を拡げる貴重な食材になっています。
その一方で和栗は、
1)むき天津甘栗が安い中国の人件費を背景に、手軽に、しかもそのまま食べることも調理することも出来るようになってから、
2)また韓国での生産量が増え、同じく韓国の栗が効率的な流通経路の発達と安い中国の人海戦術で良質で安価な甘露煮等に加工されるようになってから、
は、生栗の状態ではその消費量が減少し、日本の人々にとって秋に食する代表的な果物ではなくなってしまいました。栗ペーストを使用したケーキ類としての摂取形態だけが例外的に生き残ったといえます。
また、人々があまり栗を食べなくなっている背景には、
「市場を通じて流通しスーパー・デパートで購入できる栗や産地で売られている栗が5分5分の確率以上で不味い」
という悲しい現実があります。
そんな訳はない、証拠データを出せ、と言われるかもしれません。
「確率的に中国産のむき甘栗を食べる方が圧倒的に食味がよい。」
この意見に、日本の現状では私も残念ながら全面的に同意します。
でも、この意見を覆して少しでも多くの日本の人たちに美味しい栗を提供して、
「和栗(も、あるいは、の方が)めちゃ美味いじゃないか!!」
と言って貰おう、というのが私の夢であり、野望なのです。
常に美味しい味の探求・向上のため、年に数回は他の農家さんの栗を購入するようにして試食するようにしています。
が、購入して、2,3個蒸してみて不味い栗は全て袋ごと廃棄します。美味しくないものは、好物でこそなおさら食べられません。
つい先日、大阪を代表するあるデパートで悲しい栗の光景を目にしました。
白けてしまった悲しそうな栗。(あくまで個人の感想です。個別の食品の鮮度についてはご自身で判断下さい。バイヤーの方が目にされても、一般的な栗流通に対する論評で、ブランドに対する加害等の他意はまったくありません。)
ポストハーベストの味への影響、
乾燥条件での保存、
適切な冷蔵貯蔵でないこと、
栗がコールドチェーンにきちんと組み込まれていないこと、
小売店もどうやって鮮度保持するかまったく知らないこと、
美味しくないので生産原価割れする値段でも売れないこと、
思うに、栗に対するシステムがすべておかしく奇妙で、上手く機能していません。
私はJAの機構にまったく疎いのですが、JAの方が努力されてこなかったとは思いたくありません。
しかし、栗流通に至る悲惨な現状はどうしたことかと不思議を感じます。
茨城県や愛媛県・熊本県、産地のJAさんはそれぞれに努力されているはずなのに。
リンゴでできたコールドチェーンの構築に栗で失敗した要因はなんだったのでしょうか?栗の鮮度保持の難しさが要因のひとつであることは間違いないですし、栗の皮むきの煩雑さも大きな要因ではあったのでしょう。韓国産の和栗、中国グリの圧倒的低価格、おそらく、農政への人的資源、予算の配分不足もあったのでしょう。
いずれが主因にせよ、すべてが、一般の日本人が美味い栗を食べることを難しくしてしまったのです。
でも今でもちゃんと適切な手間暇かければ、10月後半の今がもっとも美味しい和栗を食べられる季節なんです !!
みんな、「本当に美味しい和栗を食べよう!!」
店舗担当者さま、「栗はラップして”冷蔵”☆陳列棚に並べよう!!!」(後生ですから、絶対お願いしますね~)
そして、私は美味しい丹波栗の生栗を提供できるよう日夜努力しております。
なんか、堅い湿った話になってしまったので、好きな静岡県の富士山周辺の観光地の写真でさっぱりさせておきます。
島田の蓬莱橋
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