必ず氷蔵熟成して出荷しよう(丹波栗栽培hints#7)(副題 世界に学ぼう 負けるな日本)

丹波栗 栽培日記
世界の栗の最大の生産地はご存知、甘栗で有名な中国です。その生産量は165万トン、世界の80%を生産、2万トンの日本の何と80倍です。ちなみに生産量2位以下の国は、韓国、トルコ、ボリビア、イタリアです。栗生産について日本は謙虚に世界に、特に中国に学ぶべき時です。
 
知っていましたか?中国グリは日本グリとそもそも品種が違いますが、そんな中国グリも実は採れたては大して甘くないんです ‼︎ せいぜい糖度10度台前半。
 
では、なぜ甘くなるかと言うと、昔なら涼しい陰の砂や土の中に埋めて熟成、今なら栗生産企業が専用0度付近の温度帯の巨大冷蔵庫を所有していて、そこで長期間氷蔵熟成しているからです。
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対して、日本の栗の大半は氷蔵熟成することなく出荷されています(もちろん少数ですが例外の篤農家は各地におられます)。参考に2年前のエントリー再掲します。

 

日本の経済力低下傾向の昨今、”クールジャパン”運動的な日本の後進性の現実を直視しない流れを感じますが、クリ生産では今こそ先進の中国に学び、栗を出荷に関わる全ての生産者団体及びJAは0度帯の恒温高湿庫または冷蔵庫(この場合はポリ袋に栗を入れCA保存)を備えなくてはなりません。それが日本栗の品質と価値を高める唯一の道です。中国の方は当然していることを日本が出来ないわけはありません。負けるな日本🇯🇵!

 
「お役人が「日本の中山間地域振興には栗生産だ〜」と思い付きで栗新植を推奨する」→「生産が次第に増加」→「熟成せずに出荷」「かたや中国グリは熟成出荷」→「日本の栗は甘くない」「中国グリの方が甘い」→「日本の栗は美味しくない」→「日本人は日本の栗をあまり食べない」→「日本の栗の価格が安く叩かれる」→「日本の栗産地の衰退」という30年ごと位に繰り返される悲劇的歴史に終止符を打たねばなりません。
 
丹波栗は大きくて立派だけど、味は大味であまり美味しくない、山のシバグリの方が甘くて美味しい、という意見がよく聞かれるのも頷けます。
 
丹波栗生産者の皆様は、きちんと氷蔵熟成してから出荷して、「大きくて甘くてホントに美味しいね」「甘栗と同じ甘さだね」という評判を共に確立しましょう。
 
ちなみに、こんな話はA大先生の作業便利帳はじめ日本の栗栽培の教科書には以前から書いてある初歩的なことなんですけれど、、、きっと流通する美味しくない日本グリに長く接するうちに、日本人はいつしか美味しい本当のクリの保存の仕方、本当の味を忘れてしまったのでしょう。
 
これは私的な体験なのですが、ずいぶん以前に私の祖母は、山の斜面の土の中から埋めておいた山のクリを掘り出してきてくれました。当時は一体ぜんたい変なことをするもんだと思ったものですが、その後その生活の知恵の意味(保存と糖化熟成)を知るようになって、今ではそれは忘れもできない鮮烈な思い出となっております。

 


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