果樹栽培において台木選択はとても重要

丹波栗 栽培日記
果樹栽培においてどのような台木の選ぶかは、樹木を健全に維持すること、品質や生産性などに非常に大きな影響を及ぼします。例えば、ブドウは挿し木繁殖が容易なことから明治時代から台木研究は盛んで、現在は耐病性、早熟性などから圧倒的人気のテレキ5BB、テレキ8B、ワイン用品種に3309といった台木品種が用いられています。リンゴではマルバカイドウや取り木や組織培養によるM系矮性台木、ナシでは実生のニホンヤマナシなどが知られています。
Which rootstocks should be chosen is significant issue in fruit production.  Health, quality of fruits, productivity etc is affected by them.  In case of other fruit trees, grape, apple, Japanese pear, we have specific rootstocks, 5BB, 8B, 3308, M9 etc.

挿し木によるブドウ台木 grape rootstocks by cuttings

では、クリの台木はどうでしょうか?一般にクリは栽培品種の実生台木による「共台」が良いとされます。が、クリの果実を見た目でキチンと品種分けできる人が少ない中、販売される苗が実際に「共台」になっているかは「?」です。さらに栽培品種の実生は遺伝的に均質ではなく、必要な耐水性、耐凍性、耐乾燥性、耐虫害性を必ずしも具備していません。クリ農家で枯死に全く遭遇しない人はいないでしょう。そう、これまでクリは育成の困難さ故に台木選択という概念が欠如していたのです。
How about chestnut trees?  We had lacked concern about rootstocks because of its difficulty to breed those.
兵庫県立の圃場にある丹波栗の代表の銀寄。
Ginyose trees grafted on a C.mollissima rootstock 37years old in experimental orchard in Hyogo bred by Dr Araki Hitoshi

偉大なる故A先生は西日本の日本グリにとって過酷な気象、害虫存在環境では、中国グリC. mollissima 台木が適していると判断されて、全てmollissima 台木とする選択をされました。今から約40年前のことです。

なぜチュウゴクグリがニホングリ台木として適していると言えるのかは、明確に理論的には説明されていません。おそらく一口にチュウゴクグリといっても遺伝的により広い多様性があって、より強靭なモノもいる、という事なのでしょう。

とにもかくにも、私達が今日見ることができるのは、大阪能勢にあった銀寄の母樹(由来は諸説あるものの最有力説)が環境変化の中、枯死を余儀なくされた中、兵庫県の同じく難しい栽培条件の中でこれらの銀寄(mollissima 台銀寄)の一群が極めて健康にこの40年を生きて来てるという現象なのです。

クリ栽培においても、全ての果樹栽培において、台木の選択が重要であることが、お解り頂けたでしょうか?

参考: 能勢の銀寄母樹。昭和後期に枯死。
Original mother tree of Ginyose.  Died 40 years ago.
参考: 気候変動の中、苦闘される能勢の継代銀寄母樹の冬の姿。台木は共台か?、詳細不詳。枯死が多発傾向。
Ginyose trees grafted on C.crenata seedlings near the original mother tree.  Struggling with withering and climate change.

ニホングリ用台木開発は、新しいステージに進んでいきます。




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