
またまたしばらくのご無沙汰です。生来の無精から、ついブログの更新を怠けてしまいますが、大変元気にしております。
ごく一部のマニアックな当栗栽培ブログのファンの方々にはお待たせしております!
いやいや、温暖化が進むと西日本低地での栗栽培は大変なんですよ。枯れやすくなってきて、ですよ。おまけに台木品種がなかなか簡単には確立できない難しさが、そのハードルを上げています。少なくとも生理的に暖地に向いた台木品種に変えていかなければ、今後の産地の存続は無いとまで言えます。
みなさん、栗の新品種育成を頑張りましょう。
そういうわけで、私のライフワークは栗の新品種育成です。栽培品種と台木品種の両方です。まだ簡単なのは、接木で繁殖できる栽培品種の方です。
私の画像に上げているこの栽培品種は、ご覧のように鈴なりにイガが成っています。栗農家的にはより沢山実を成らせてくれるのはありがたい性質です。
さらに、果実の性状、デンプン質が優位か、蛋白成分が多めか、水分量が多いか少ないか、フレーバーが豊富か、甘みが多いか少ないか、貯蔵性が良いか悪いか、皮が剥きやすいか、大きさ、などなどいろいろな面で、栗でも品種には幅広い個性があります。

栗の中には、このように赤っぽい葉を持つものもあります。
昔は日本でも栗の新品種育成は盛んに行われました。というのも、日本では接木ではなく、実生繁殖されることが大半だったので、実生樹のうち長生きして古木として生き残っていくと、自ずとその木が地域で有名になり、新品種的存在になったわけです。
ただそこでは、現代的な意味での「品種」ではなく、有名な古木を母樹とする兄弟や異父兄弟である「実生群」であったりしたわけです。
それが、昭和期にクリタマバチで日本の栗が壊滅的枯死被害を全国的に受けて以来、ごく一部の篤農家の例を除いて、パッタリと日本での民間育成が止まってしまったのです。
以来、栗栽培は国の研究機関が育成した品種を接木した苗木を購入してするものだとされるに至りました。
しかしここに落とし穴がありました。果樹栽培において非常に重要な台木の問題です。日本栗には病虫害に強い台木品種が開発されていません。その上に台木の挿し木繁殖は極めて困難でした。
栽培品種の寡占化が進むに従い、実生台木の遺伝的多様性が喪失していきます。
もし栽培品種の実生群が病虫害に強ければ、あまり不都合はありません。しかしながら、日本の現行主力クリ品種の実生群が平均して病虫害に弱い場合や栽培する地域の気候に合わない場合はどういうことが起きるでしょうか?
ここからは読者のみなさんのご自分の頭脳で考えてみて下さいね。実際に栗生産の現場で起きていることを知っている方は、そのことと合わせながら。
ともかくも、日本のクリ栽培において台木品種育成の重要性は強調して、し過ぎることはありません。
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