長年にわたって、栗は挿し木繁殖できない、とっても難しくて不可能に近い、と考えられてきました。
ところが、1990年代終わりごろからヨーロッパのスペインとポルトガルで研究が進みます。
そして今や、大学研究室や農業研究所レベルであれば、適切な専門施設を用いれば、挿し木繁殖できる時代になりました。さらには気が付けば、組織培養も専門家レベルであれば普通にできる時代になってました( ̄O ̄;) 世界の学術の歩みに終わりはないようです。
(追記:みなさんがトライされるのは全く自由ですが、現在でも論文を読んで、適切な発根促進剤と研究所レベルの専門施設を使用しなければ、クリの挿し木は基本的に成功しません。現在でもクリの発根能力は極めて低く、本投稿はクリの挿し木を一般の方々に推奨するものではありません。念のため申し添えます。)
栗苗の細根をふやすことは現状では難易度が高く、接木苗は植えてから何年経っても遅発性の不親和を起こしやすいことから、挿し木繁殖は待望のものです。
台木や非接木苗として、日本でもこれからは、こうした技術による栗苗生産が拡がるでしょう。兵庫県でも、この40年来の課題である日本グリ用の台木研究が続けられています。その成果に大いに期待したいものです。
コメント
初めまして、栗(ぽろたん)の挿し木について、宜しければお教えいただければ有り難く存じます。
挿し木が難しい栗が、現在では可能になったとありますが、具体的にどのような処理をすればよいのでしょうか。
お手数ですが、お答えいただければ有り難く存じます。
宜しくお願い致します。
初めまして。
お問い合わせ頂いた件ですが、クリの挿し木は難発根性果樹と言って基本的には普通では挿し木が発根しない性質が有ります。
これは、何十年とチャレンジした先人がはね除けられてきて、最近になってようやっと研究室レベルや大学レベルでようやっと達成できるかなりの難しい難関です。下記にご参考の資料を貼付しておきます。幼若化や発根など様々なハードルがありますが、ダメ元でチャレンジしてみていただくと面白いと思います。
ただし、夏の夜が暑い地方での成功は直ぐに穂木が乾燥して枯死するので困難。
最低限、発根剤とミスト室での加湿冷却が必要です。
下記の農薬オキシベロンが発根剤として使用出来る可能性がありますが、法律的に厳密にはクリには適用がありません。
https://cropscience.bayer.jp/ja/home/product/detail/product11790.php
参考の英文論文です。
https://www.researchgate.net/publication/264158166_Fog_and_substrate_conditions_for_chestnut_propagation_by_leafy_cuttings
以上ご参考まで。
追記です。
先日の台風で、庭のぽろたんが倒れてしまいました。
このままではかわいそうなので、挿し木が出来ればと考えています。
宜しくお願い致します。
早々のお返事、有難う御座います。
論文も読ませていただきました。
普通に挿し木繁殖できる、とあったため、個人レベルで行える薬剤などが販売されていると受け取ったのですが、そうではないのですね。
残念ですが、あきらめようと思います。
有難うございました。お手数おかけしました。