栗の品種紹介 その6 美玖里 Mikuri

丹波栗 栽培日記


こんにちは、美玖里です。


農研機構にて選抜、育種されたとても美味しい栗品種です。来歴は秋峰 x 石鎚。多分母親が秋峰で受粉樹が石鎚でしょう(要確認)。2009年公表。別名くり農林9号、クリ筑波39号。なお、2041年まで種苗法PVPで育種者権が保護されています。

名前の由来は、美味しく(美)、外観が優れており(玖)、この品種が普及することで産地(里)が豊かになることを願い、また、旧系統名である「クリ筑波39号」の「39」にちなんで「美玖里」と命名された、とのことです。そうなんです、39でミクちゃんだったんですね〜。

秋峰は利平の孫なので、美玖里は利平のひ孫です。利平は中国グリと日本グリのハーフなので、遺伝的には美玖里は15/16日本グリ(C. crenata)、1/16中国グリ(C. mollissima)です。

また石鎚は岸根の子供であり、秋峰は筑波の子供なので、岸根と筑波の孫でもあります。つまり、筑波、利平、岸根と日本の栽培品種の血を併せ持つサラブレッド品種です。

ひとつ大変残念ながら、渋皮の剥皮は従来のニホングリと同様に困難です。

イガは特にデカいです。イガは利平のひ孫というだけあって、かなり分厚く重たい巨大なイガになっています。甘みがあり、果実の品質は良好です。

当ブログは栗栽培ブログですゆえ、栽培面でのデメリットや対応案を挙げておきます。

1 低・無農薬ではモモノゴマダラノメイガ等の害虫被害が集中的に起きやすい。農薬依存農法になりがち。ただし、黄色防蛾灯は蛾の産卵抑制に有効で、低・無農薬の美玖里栽培では(株)ネイブルさんのレピガード等の黄色防蛾灯設置を検討されることをお勧めします(検証済み)。

2 利平と同じく大きなイガに栄養を取られる分、収量はたくさんなる見た目ほどは伸びない。(多収の横綱、筑波にははるかに及ばない)

3 台風耐性も落下に強い筑波に比べると弱く、落果が生じる。石鎚よりも少し弱い。銀寄よりははるかにまし、利平と同等くらいか、と。この面で強力台風が多くなって来た昨今、単一の主力には、しにくい。風害対策に、枝同士が当たるくらいの思い切った密植、超低樹高がいいかもしれません(未検証)。

4 イガのまま落果するのが基本なので、収穫が大変。イガ剥き機があった方がいいかも。



コメント