と修正しました。)
「栗は実生苗を植えて、1、2年後に圃場で目的の品種を接木するが良し。」(急がば回れ)
(中国農業大学農学生物技術学院による推奨技術)
栗は根系の発達の極めて悪い果樹なので、接木苗を移植すると、根の回復と接木部の癒合とを同時に要求され、両方にエネルギーを消費して移植後数年の成長が悪くなりやすい。なるほど、経験値的には全くその通りです。
実生苗を植えて3年我慢して、根系が発達して地上部がよく茂るようになった時に目的の品種を接木すれば、勢いよく新梢が発達して初期収量が上がり、また樹体が枯れにくい、という指導です。
さすが効率重視の中国です。一見遠回りですが、病虫害に強い台木開発とともに、非常に枯れやすい果樹である栗栽培では理に叶った方法です。根と接木部の回復は虻蜂とらず、急がば回れ、です。台木がしっかりしていれば、接木による品種の変更も可能になってきます。
何しろ接木苗主流の日本では、根系の発達が不十分で台木そのものが短命、品種変更時に栗は改めて新植になってしまう方が普通です。日本でのクリ農業の致命的な問題点のひとつです。
1980年代までは中国が日本から栗の集約的果樹的栽培、荒木方式をはじめとして、を貪欲に吸収した時代でしたが、時は移り2020年代、今度は日本が諸外国から貪欲に農業技術を吸収するべき、いわば遣唐使の時代です。こういうことを言うと反発する人がいるのは分かっていますが、日本の農業が世界の中で後進国化している部分がある現実と海外からの情報の勉強の必要性は素直に認めるべきとき、と感じます。(栗生産量は中国200万トン、日本2万トン(量より質、統計誤差等の声あれど如何せん圧倒的))
なお、当方もこの情報が絶対正しい、と盲信している訳ではありません、品種、
気候、昆虫等諸条件が違うので日本の条件下での実地検証要と捉えています、為念。
何しろ中国にはこの10年余りに出版された栗栽培の教科書だけで15冊以上あります。日本は2004年の「クリの作業便利帳」荒木斉著 を最後にほぼ止まっています。
自分の孫の時代まで枯れない栗樹を育てたい方は是非試してみませんか。
人生100年時代、がんばれニッポン、頑張れ農業指導者&JA!
コメント
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はじめまして。
栗栽培に興味を持って拝見しております。
接木苗を移植すると、
①根の回復
②接木部分の癒合
の2つにエネルギーを取られて成長に悪影響があるとの事ですが、
両方を回避するべく、以下のように栽培するのは愚策でしょうか?
①接木しないで済むように、実生苗の時点で、希望の品種を多く植えて、良さそうな苗だけを選別する。
※接木はしない前提
②大型鉢で実生苗を作り、圃場移植時に根を切らないようにする。
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>vsheeyさん
コメント頂きまして誠にありがとうございます。
ご提案の方法ですが、「品種」は接木、取り木、挿し木、細胞培養のいずれかでしか増殖出来ません。実生苗では、基本的に異なる品種から花粉が飛んできて受粉、交配して半分の遺伝子は不明な雑種になっています。栗では実生苗(雑種)の過半数以上は元の品種よりも果実品質や大きさが悪くなりますので、育種目的や木材生産目的以外では目的を達せません。
ただし中国栗C. mollissima だけは例外で、優良品種同士の交配であれば、実生栽培もそれなりの結果を産むそうです。
一方で日本グリで安定した栗の実を得たい場合は、接木が必須です。
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>交配して半分の遺伝子は不明な雑種になっています。
この部分が思考から抜けておりました。
接ぎ木前提で考えるように致します。
本当にありがとうございます。