栗の接木用穂木には充実した前年結果枝を利用 栗栽培hints#14

丹波栗 栽培日記

今回は、日本ではあまり栗栽培の教科書で議論されてこなかったテーマです。「穂木には、どのような枝を採取すべきか?」です。
“Q: What kind of scions should we select to graft chestnut cultivars for nut production?” “A: Utilize fruit bearing branches, not turions.”
徒長枝を穂木に用いた場合のあまり望ましくない若年木の例 
A case of grafted tree using turion.  Less productive during young ages.

栽培はじめに接木する際に、接ぎ穂に徒長枝が使われた場合、このように発育の良い枝が大量に発生して、なかなか数年間以上結果しないということが起こりやすくなります。

日本では充実した1年生枝が穂木に用いられるのが一般的です。徒長気味の充実した枝が用いられることも多くあります。これはどちらかというと苗屋さんの都合で、初年度から結果してしまうと苗に見た目のバラツキが出ることと、枝が苗出荷の邪魔になること等から、わざと穂木には前年結果枝を使うことを避けておられるのです。確かに見た目は統一感があり、伸びも良い苗は第一印象は悪くないですが、こうした苗を植えてもなかなか収量が上がってきません。

しかし、本当は栗農家にとっては枝は短めで、一方で結実良好で1、2年目から豊産であるに越したことはないです。果実生産用には、実がしっかり成れば、実がならないほど貧弱では困りますが、材木部分はできれば少ない方が好ましい訳です。

これが下の写真のような前年結果枝を主体に使えば、接木後の早期からなってくれるので、この選択は収量増加に重要な部分となります。とにかく穂木に徒長気味の枝は避けるのが肝心です。
前年結果枝を利用した穂木(中国での例)
Examples of fruit bearing branches for grafting.

ということで、初期収量を上げるために前年結果枝を穂木として採取してご自分で圃場で接木をしましょう。もしくは前年結果枝を穂木として利用する苗屋さんを選択するか。



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