USDA Plant Harniness Zoneという気候分類マップをご存じでしょうか?日本では、あまり使われていない面もありますが、植物関係を研究される方ならご存じかと思います。今年は丹波地方がはっきり zone 9b になったと言える年です。
これが意味することはどういうことでしょう?栗農家には、重大なことなのです。
このブログは「丹波栗食べようブログ」的な要素もあるのですが、元々は「丹波栗栽培ブログ」として自分の備忘録を兼ねて、10年前からの丹波栗栽培で得てきた経験、知識をそこはかとなく書き綴ったものです。丹波栗振興に努力される方々からは叱られそうですが、自分への反省も含めて、データに基づかず、やみくもに進む、困った昔からの日本の文化に一石を投じる意味で、今回は、現場栽培家の視点でのみ書きました。丹波栗の食べ専門派の方は見逃してください。
zone 6bから9aまでが日本グリ Castanea crenataの生育範囲と考えられています。特に 8b (もしくは少々寒冷すぎる 8a) が栗生産に至適気候です。
2001年に zone 8aだった丹波地方はこの20年で2段階も暖かい zone 9a と 9b の境界にまでゾーニングが変化しました。
https://www.jelitto.com/Plant+Information/Plant+Hardiness+Zones/Plant+Hardiness+Zones+-+Japan/
(2001年)
https://www.plantmaps.com/interactive-japan-plant-hardiness-zone-map-celsius.php
(最新版)
すなわち、ゾーニングの変化は、現行品種の栗の栽培適地からはずれつつある、という関係者に不都合な事実を意味するのです。「よく枯れる」との声は現場の方々から聞こえます。が、至適気候からはずれてきているからで、ある意味当然です。なにしろ 9b はアボカドやオリーブが栽培できる気候帯です。日本の大産地である茨城県筑波山周辺は、まだ zone 8b から zone 9a 境界にあるので、しばらくは大丈夫でしょうが、10~20年後はどうでしょうか。茨城も今後 zone 9b に突入する見込みは低くないと言えます。
近年ほど暑いと、耐暑性、亜熱帯気候向けの栗品種を開発していかないと西日本での栗栽培は生き残りしていけないでしょう。さもなくば丹波栗関係者としては辛いことですが、既に起きている現実的対応としては、温暖化で河北省、山東省等で適地がさらに広がる中国に白旗をあげるか、栗産地を岐阜、長野、東北、北海道等の北に移動させるか(おそらくこのままの傾向が続けば自然とそうなるでしょうが)。
日本の知恵の集結を期待します!
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