果樹苗の輸入には1年間のquarantineが必要 (隔離栽培による検疫)

丹波栗 栽培日記
今回の新型コロナウイルスのように、植物も簡単に世界の地域を超えた移動を許すと、大きな感染症を引き起こすことがあります。

栗では日本から米国に1890年頃に盛んに京都府や茨城県から輸出された和栗の苗に付いて、クリ胴枯病菌Cryphonectria parasitica が侵入して大量のアメリカ栗を枯死させ絶滅に近い甚大な被害を与えた事件が歴史的に有名です。

そうしたこともあって、果樹の遺伝資源の輸入には極めて高い植物検疫のハードルが設けられています。
そのクリ苗の1年間の輸入検疫を終えた日欧米交配品種を日本の栗の樹に接木しました。幸い、元気に活着しています。

日本には4ヶ所、防疫所の隔離圃場があって、関西は神戸防疫所伊川谷圃場になります。農学専門官が1年間栽培管理して検査を行って頂けます。
1年半前に輸入された苗の様子です。全ての苗は、一切の土壌が付着しない裸苗の状態でしか輸入出来ません。病虫害の持ち込みを極力回避するためです。空港の手続きに2週間近くかかりますので、もうカラカラで当然入った時点で枯れてしまっていることも。過酷な世界で、この状態までの過程がとても大変。
さらにその前の段階として、欲しい品種を扱っていて、かつこの複雑な植物検疫証明書を発行して、面倒な日本への発送をして頂けるナーセリーを探すのが、果樹苗輸入で最も難しいことです。

農園作業に忙しい職人気質のnurseryman に、英語で正しく意思を伝えるのもひと苦労です。

しばらく隔離栽培されるとこんな感じです。
害虫がおらず至適条件に近い隔離圃場では、異常に緑が濃い葉っぱが成長します。



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