秋-栗品種のはなし その2 国見

丹波栗 栽培日記


収穫も本命の筑波・銀寄が最終盤となり、やっと一段落してきました。ほっ(*^-^*)


毎年思うのですが、栗栽培系のブログには秋に欠点があることに気が付きます。それは、秋の味覚のシーズンが始まり一般の方々の栗への興味が高まる秋になってくるにもかかわらず、農繁期が始まる9月中旬以降、10月始めまでは収穫の手間が一時に集中して、ブログを更新する時間も、エネルギーも残って無い状態になってしまうことです。


国内の他産地の篤農家諸氏HPを拝見してもみなさん事情は同じなのか、そういう傾向があります(笑)。



品種名: 国見


昭和40年に農林省園芸試験場で選抜された 丹沢×石鎚の交雑実生の早生品種。別名くり農林5号。

1)クリタマバチ、モモノゴマダラノメイガの2大害虫に極めて強いこと、

2)30g程度の大果、

3)他の主力品種に比して水分量が多く収穫時には糖度が低いため適切な追熟が必要であること

が特徴です。収穫期は丹沢より1週間弱遅く、9月5日~9月20日頃。


あまりよく知られてしませんが、今流行のぽろたんは丹沢×550-40の交雑種で、550-40は国見の子供ですので、国見はぽろたんの祖父ということになります。たしかにポロタンと国見はよく似ています。


さらに言うと、少々マニアックな世界ですが、ポロタンの易渋皮剥皮性の遺伝子は劣勢遺伝子で、乙宗→丹沢→国見→550-40→ポロタン←丹沢 と受け継がれているとのこと。(出典:Nishio S. et al.(2013) Tree Genet Genomes 9:723-730) メンデルの法則の世界で面白いですね。


この国見、害虫にいわば最強の品種のひとつで、メイガの産卵期よりも熟期が早いからと説明されますが、同時期の丹沢には虫が入ることと比較すると、個人的には、この理由はイガが立派でトゲ(刺毛)が長いために害虫が物理的に入り込みにくいのではないかと推測しています。


味が悪いと低い評価をされる一部の農家もおられます。確かに収穫直後は水分が多めで甘みに欠けます。がしかし、加工には適した硬さと風味が有り菓子等加工には適していますし、そのままでも適切な氷温熟成での追熟を行えば、銀寄をも上回る味になりえますので、メイガの害が極めて少ないことと併せて、もっと評価を見直されるべき品種でしょう。




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