なぜ注目を浴びているのでしょうか?その理由を栗栽培農業者の視点で見てみましょう。
1 中国栗と同様に剥きやすい
2 蛾の幼虫(モモノゴマダラノメイガなど)の加害が非常に少ない
3 クリシギゾウムシの加害が少ない
4 長期貯蔵後の糖度低下が他の和栗品種より少ない
5 クリタマバチの虫えいができない
6 生育が多くの和栗よりも旺盛で、早く大きな樹になりやすい
7 (中国栗系台木を使用した場合)枯れにくい
8 一果20g程度と一般的な中国栗の大きさよりも大きい
9 病害が少ないため、無農薬栽培も可能
10 収量が平均的であるも安定している
11 国見と同時期の収穫で早生寄りの品種である
12 交配されてから70年経過しており、品種として安定している
13 イガからはぜて落果することが基本なので、収穫しやすい
14 風でイガが落ちにくいので、台風に強い
15 胴枯病菌に侵されない
16 同じ日中交配種の利平よりも実炭疽等の腐敗の発生率が低い
こう挙げていくと、いいことづくめですね。注意事項をあえて言えば、甘みと旨味を十分に引き出すには、他の栗品種同様にしっかりと氷温帯での熟成が必要なので、適切な冷蔵施設が必須であることです。
倉方甘栗
倉方英蔵氏育成で1947年東京都にて交配、日本栗と中国栗の交配種第1代。最近では、全国的に栽培面積を増やしている農家が少しづつ増えて密かなブームになっています。
とにかく、丹波栗の大家でいらっしゃった荒木先生が仰ったように「栗ほど枯れやすい果樹は他にない」のですから、枯れにくい栗品種導入は非常に重要で、これからは、こうした中国栗系の遺伝子を持つ強く枯れにくい栗品種の栽培導入が日本での栗栽培のひとつの潮流になっていくことでしょう。
実生の柴栗台木に倉方甘栗を接木してみた様子。
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